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NPO法人日本CT検診学会について

理事長挨拶

日本CT検診学会 理事長 中川 徹

日本CT検診学会 理事長 中川 徹

金子昌弘理事長の定年によるご退任に伴い、先の理事会において理事長を拝命いたしました。何卒よろしくお願い申し上げます。舘野先生、金子先生という泰斗おふたかたの跡を引き継ぐことは大きな重圧です。しかし、沈みつつある我が国に予防医学という側面からなんとか貢献できないかという思いでお引き受けいたした次第です。

私と『低線量肺がんCT検診』との関係の始まりは、放射線科の研修医として日本医学放射線学会に参加した1990年台初頭にさかのぼります。胸部画像診断のセッションは、非常に厳しい議論の応酬がなされることで、多くの若手の発表者も容赦なく叩きのめされるので恐れられておりました。その場所で初めて舘野之男先生をお見かけしました。舘野先生は、肺がん検診に低線量CTを用いるべきであるという主張をなされたのです。当時高額なCT装置を用いて、肺がんやびまん性肺疾患などの精密診断がホットな時代で、低線量CTで肺がん検診を行うという意見はまったく受け入れられませんでした。参加者大半が強硬に反対するなか、舘野先生おひとりが、真っ赤なお顔で、まさに鬼気迫る様相で導入を主張なされておられたのです。わたしは当時ペーペーの研修医でしたが、この場所の空気をご一緒させていただけたことは幸いでした。

その後産業医として、日立製作所に就職したのですが、当時5万人を超える従業員の健康管理をしていくと、毎年80名前後の従業員を在職中の死亡で失います。特に、胃がん、肺がん、大腸がんで死亡するものが多かったのです。1998年に職域において『低線量肺がんCT検診』を開始し、約20年推移、従業員の肺がんの標準化死亡比は30%以下と著明に低減してきました。(でも働き盛りの肺がん死亡は0にはなりませぬ。職域の禁煙を強力に推進しておる次第です。)

超高齢化社会を寿ぐためには、国民皆保険制度を堅持できるかどうかにかかっております。進行がんの医療費が制度を窮迫していくことは明らかです。特に肺がん、大腸がん、乳がんをどのステージで治療するのか?もしくは治療をしないのか?国民的合意形成を必要とする時代になりました。早期で肺がん、大腸がんを検出して、安価に治療することで我が国の医療にどれだけ貢献できるのか?

今、低線量CT検診の真価が問われております。日本CT検診学会のみなさまの総力を結集して、沈みゆく日本に立ち向かえればと心しております。