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メールマガジン2006年11月1日発行第44号

目次:
 ・青木國雄先生と幻のファイバースコープ
 ・I-ELCAP の最新論文について
 ・文献紹介
 ・まもなく行われる学会・研究会
 ・カンファレンス紹介
 ・スタッフその他の募集
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青木國雄先生と幻のファイバースコープ
                      放射線医学総合研究所 飯沼 武

青木國雄先生といえば、元名古屋大学医学部長、元愛知県がんセンター総長であり、がんの公衆衛生学、疫学の大家であることはご承知の通りです。ところが、先生がお若い頃、肺の内視鏡や断層撮影の研究をやっておられたことを最近知りました。
 実は9月30日に、池田茂人先生を偲ぶ会が行なわれました。池田先生の業績がファイバースコープを中心に展示されました。私も参加しましたところ、青木先生もお見えになっておられました。そこで、先生が私に、実は若い時、名古屋大学の医学部内科(日比野内科)におられた頃、肺のファイバースコープの研究をなさっておられたこと、また、ご自分の博士論文として、肺結核の断層撮影の研究を提出されたことをお話し下さいました。
 私はびっくりしました。私が存じあげている青木先生は公衆衛生の第一人者である方ですので、まさか、その先生がそのような医療器械に関連するお仕事をなさったことがあるとは全く予想もしていなかったことでした。
 青木先生がその後、関連の別刷をお送りくださいましたので、是非、この領域と関係が深いCT検診学会の会員諸先生にこのトピックスをお知らせしたいとメールマガジンに投稿しました。

 (1)幻のファイバースコープ
 青木先生は昭和30年頃、当時、名古屋工業大学の教授であられた吉田高年先生と共同でファイバースコープの開発に当たられた。青木先生がお書きになった文章を引用します。「昔、胸部疾患(特に肺結核)の内科医をしていた私は、特に非観血的なX線による病巣診断法に関心があったが、手術などの決定には旧式の太い気管支鏡による主気管支周辺の直視検査を参考にしていた。・・・・もっと細い柔軟な管があって、その奥の状況をカメラで撮影できないかと考えていた。吉田先生にご相談するとガラス繊維を非常に細く伸ばし、
銀でコートする。それを1000本か2000本あつめてコード様にし、外部から光を送って反射光をカメラにおさめればと言われた。このガラスの繊維コードは径1mm前後と細くて柔軟なので粘膜も痛めないでしょうとのことであった。
素晴らしいアイデアと勇躍したのを覚えている。」
 青木先生はこの直後、臨床医から疫学研究に転向し、このアイデアへの挑戦は中断のやむなきに至ったと書いておられます。もし、成功していたら世界でも最も早いファイバースコープが完成していたかも知れませんね。

 (2)肺結核症の診断における断層撮影方向
 この研究は青木先生の博士論文であり、下記の雑誌に掲載されております。これも今回送って頂いた別刷で初めて先生がこのような優れたご研究をやっておられたことを知ったのであります。
 青木國雄:肺結核症の診断における断層撮影方向(特に斜方向断層撮影について). 日本医学放射線学会誌18巻第9号,1245-1268.1958(昭和33年)
 本論文は24ページに及ぶ大論文で、私の専門とする日医放会誌に掲載されていたのであります。肺の横断解剖図をふんだんに使用され、X線所見の描出率を綿密に研究されております。恐らく、当時としてはまさに第一級の
研究成果であったことでしょう。
 先生がこのように機械に強く、すごいアイデアに富んでおられる方とは全然知りませんでした。昭和33年は私が東京大学から放医研に移った年で研究者としての第一歩を踏み出した時でした。この時代に青木先生がこのような
素晴らしい業績を挙げておられたことに感嘆します。
 我々も先生を見習って、益々、頑張らなければと自戒しております。
                           2006年10月13日
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■ I-ELCAP の最新論文について

 先日来、日経新聞や朝日新聞においてNew England Journal of Medicine の10月26日号に掲載されたI-ELCAPの報告 Survival of Patients with Stage I Lung Cancer Detected on CT Screening が話題になっております。
 これはニューヨークのコーネル大学のヘンシュケ教授を中心とするInternational Early Lung Cancer Action Program(I-ELCSP)がとりまとめた各地のCT検診の結果で、日本からは曽根先生のグループが参加しております。
 結果については各紙で報道されているとおりで、詳細については既にオンラインで読むことができますので、ご覧になっている方も多いとは存じますが簡単に概略を示しますと、1993年から2005年までの間にCTでの肺がん検診を受けた31,567人を対象に検討し、初めの検診で410名の肺がんが発見され、最初の検診から7から18ヶ月以内に2回目の検診を27,456人が受け、その内から74例の肺がんが発見された。両者の合計で、85%が病期Ⅰ期であり、10年生存率は88%、発見後1ヶ月以内に切除された臨床病期I期の肺がん症例の10年生存率は92%、治療を受けなかった臨床病期I期の8例は5年以内に全例死亡した、と報告されています。
 多施設のデータのまとめなので、個々の症例についての詳細は不明な部分が多いのですが、全体としては非常にすばらしいデータで、考察でも述べているように、現状では肺がんの患者数と死亡数が非常に接近しているので、全世界的な死亡数の減少のためにはCT検診の普及が不可欠であると思われます。
 しかし、上記のまとめの中にも非常に大きな問題が含まれています。
 現在日本でも人間ドックなどを含めると年間数万人のレベルでCT検診が行われていますが、かなりの高率でAAHあるいは野口分類Aタイプの腺癌と思われる10ミリ前後の限局性するガラス状陰影(GGO病変)が発見され、CTでの経過観察が行なわれています。
 「1ヶ月以内に切除すれば90%生存、切除しなければ5年以内に全員死亡」という結果だけが一人歩きを始めると、CT検診で肺がん疑いの陰影が指摘されると、大きさや性状にお構いなしに切除することを正当化することになり、
その患者の生命予後を規定する因子になり得ないような、微小な肺がんに対しても切除が行われてしまう可能性が高いと思われます。
 一方、論文中で、手術後4週以内のいわゆる手術関連死亡が0.5% あったと報告されています。本邦では肺がんの可能性が高いとは思われているものの、微小すぎて確定診断も困難なため定期的に経過観察を行っており、既に5年以上を経過している症例も少なくありません。このよう無自覚で5年以上も経過するであろう症例に対し、切除を行い、たとえわずかであるにしても、死亡する危険性のある検査あるいは治療を行うことには問題が大きいと思われます。
 結果だけを鵜呑みにすることなく、受診者の背景因子や発見陰影の性状なども充分に考慮して、安易に切除に走ることの無いようするべきと思います。(文責:金子昌弘)
 
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■文献紹介

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Marco Das, Georg Muhlenbruch, Andreas H. Mahnken, Thomas G. Flohr,  Lutz Gundel,
Sven Stanzel, Thomas Kraus, Rolf W. Gunther, and Joachim E. Wildberger. Small
Pulmonary Nodules: Effect of Two Computer-aided Detection Systems on Radiologist
Performance Radiology 2006;241:564-571.
Purpose: To prospectively compare the effects of two computer-aided detection
(CAD) systems on the detection of small pulmonary nodules at multi?detector row
computed tomography (CT) by using a consensus panel decision as the reference
standard. Materials and Methods: Institutional review board approval and
informed consent were obtained. Multi?detector row CT scans were randomly chosen
and prospectively evaluated in 25 patients. Two dedicated CAD systems?Image
Checker CT (R2 Technologies, Sunnyvale, Calif) and Nodule Enhanced Viewing (NEV)
(Siemens Medical Solutions, Forchheim, Germany)?were used. Results were
interpreted by three radiologists with 1, 3, and 6 years of experience. Images
were evaluated without and with CAD software. The reference standard was
assessed by a consensus panel consisting of all three radiologists and an
adjudicator with 8 years of experience. Results: A total of 116 pulmonary
nodules (average diameter, 3.4 mm; average volume, 32.05 mm3) were found in all
data sets during consensus interpretation, which included findings from the CAD
software and all radiologists. Overall sensitivity was 73% with ImageChecker CT
and 75% with NEV. Overall sensitivity without CAD was 68% for radiologist 1, 78%
for radiologist 2, and 82% for radiologist 3. With ImageChecker CT, sensitivity
increased to 79% for radiologist 1, 90% for radiologist 2, and 84% for
radiologist 3. With NEV, sensitivity increased to 79% for radiologist 1, 90% for
radiologist 2, and 86% for radiologist 3. The average number of false-positive
findings was six (range, 0?14) with ImageChecker CT and eight (range, 0?22) with
NEV. Conclusion: Radiologist performance in the interpretation of multi?detector
row CT scans can be improved by using CAD systems, with a reduction in the
number of false-negative diagnoses. No statistically significant difference in
sensitivity was found between the two CAD systems.

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S. Gregory Jennings, Helen T. Winer-Muram, Mark Tann, Jun Ying, PhD and Ian
Dowdeswell. Distribution of Stage I Lung Cancer Growth Rates Determined with
Serial Volumetric CT Measurements1Radiology 2006;241:554-563.
Purpose: To retrospectively determine the distribution of stage I lung cancer
growth rates with serial volumetric computed tomographic (CT) measurements.
Materials and Methods: This study was institutional review board approved and
HIPAA compliant. The informed consent requirement was waived. Patients (n = 149)
with stage I lung cancer who underwent two pretreatment CT examinations 25 or
more days apart were identified. At the first and last examinations, tumor
perimeters were manually inscribed by using software tools and the
cross-sectional area was calculated. To calculate tumor volume, the summed areas
were multiplied by the section increment and a formula was applied to reduce
partial volume effects. Doubling time (DT) was calculated by using the volume
and interscanning interval. The percentages of tumors that would surpass volume
increase thresholds of 5%?25% for detectable growth at different time intervals
were calculated. Age at diagnosis was compared with the reciprocal of DT, time
interval between CT examinations, and initial tumor volume by using Pearson
correlation. P < .05 denoted statistical significance.
Results: Lung cancer was stage IA in 99 patients and stage IB in 50. Median
patient age was 72 years, and median interscanning interval was 130 days. Median
tumor volumes were 3000 and 6213 mm3 at the first and last examinations,
respectively. Median DT was 207 days; 21 tumors did not increase in volume
between examinations. The interscanning interval required for 90% of growing
tumors to surpass the growth threshold ranged from 8 weeks (5% threshold) to 37
weeks (25% threshold). Fifty-three percent of growing tumors would surpass the
25% threshold at 8 weeks, and 95% would surpass it at 1 year. Age at diagnosis
was negatively correlated with growth rate (P = .047); there was no correlation
between growth rate and either age at diagnosis or interscanning interval.
Conclusion: At serial volumetric CT measurements, there was wide variability in
growth rates. Some biopsy-proved cancers decreased in volume between
examinations.

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■【まもなく行われる学会・研究会】
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会議:第47回 日本肺癌学会総会
会期:平成18年12月14日(木)~15日(金)
会長:京都大学医学部 和田洋巳
会場:国立京都国際会館
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会議:第22回 肺癌集検セミナー
会期:平成18年12月16日 (土)
世話人:東北大学医学部 近藤 丘
    京都大学医学部 和田洋巳
    東海大学医学部 江口研二
会場:国立京都国際会館
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会議:第14回 日本CT検診学会大会
会期:平成19年2月16日(金)~17日(土)
会長:国立病院機構 近畿中央病院 楠 洋子
会場:大阪国際会議場 12階 特別会議室
   本学会最大のイベントです
   下記のHPで内容の確認と演題の申し込みが可能です。今すぐアクセスを
   http://www.jscts.org/jp/congress14/first_announce

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■【カンファレンス紹介】
 どなたでも自由に参加できるカンファレンスを紹介します。
 これ以外にもご存じのカンファレンスがありましたらご紹介下さい。

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【木曜読影会】
日時:11月16日(木) 
場所: 国立がんセンター中央病院 管理棟1階 第1会議室
内容:初期 小細胞がんの画像診断
参加費: 無料
案内: FAX  03-3542-2628  又はe-mail: mhkaneko@ncc.go.jp
   希望者には毎月「木読通信」をFAX又はe-mailで配信しています。
   「木読通信希望」と書いて上記へ送付してください。
責任者:金子昌弘
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【第114回東京チェストカンファレンス】
担当世話人:土田敬明(国立がんセンター中央病院)
日時:2006年11月14日(火)、18:45~21:00
会場: 国立がんセンター中央病院 4階 多地点カンファレンスルーム
内容: 持参された症例の検討を行います。
   特にテーマは定めませんので、奮ってお持ちよりください。
参加費:1,000 円
        この会の運営に関しては本学会もサポートしております。
    今回初めて参加の方はあらかじめ下記の日本CT検診学会事務局まで
    メールにてご連絡ください。 
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【国立がんセンター東病院 胸部X線読影会】
日時:8月を除く第2火曜日 午後7時30分より約2時間
場所:千葉県柏市柏の葉6-5-1 国立がんセンター柏キャンパス内
   研究所支所3階セミナールーム1
交通:http://www.ncc.go.jp/jp/about/higashi.html
内容:(前半)ご出席の先生から提示して頂いた症例の読影・解説
   (後半)過去画像を入手できた肺がん例を中心に症例提示と解説。
      どう読影すればもっと早い時期に発見できたかを皆で考え、
      早期発見のためのコツを身につけることができます。
参加費:無料
備考:双眼鏡多数用意してあります。
連絡先:04-7133-1111(代) 事務局(内線2332)馬場美津子
案内請求:mbaba@east.ncc.go.jp まで。

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スタッフ、その他募集
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職員その他の募集がありましたらお寄せ下さい。
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国立がんセンター中央病 肺診断グループ
当グループではではレジデントおよび研修医を募集しております。
3年間のレジデント、2年間のチーフレジデント、1年間の対がん協会奨学医、3ヶ月の厚労省計画研修、
不定期の任意研修まで様々なコースがあります。
興味のある方は下記にご連絡下さい。
  国立がんセンター中央病院 内視鏡部
  金子昌弘 mhkaneko@ncc.go.jp


*********** 編集後記 **************
 朝晩はめっきり涼しくなり、北海道からは早くも初雪の頼りも届くようになりましたが、皆様にはいかが
お過ごしでしょうか。
 I-ELCAPの話題については、朝日新聞も非常に興味を持ち、いろいろ取材されたのですが、日本ハムの優勝や
高校の単位不足の話題に押されて小さな扱いになってしまいました。本学会としても、会員としての参加施設の
データとりまとめて、これに匹敵する全国的な成績を示す必要があると思います。      (文責:金子昌弘)

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