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循環器部会

循環器部会

伊谷 寧崇 (伊谷医院)

30年くらい前から循環器領域においてCTによる画像診断の有用性が示されるようになり、特にCTで検出された冠動脈石灰化と冠動脈疾患との間に極めて密接な関係があることはよく知られています。そのことがきっかけとなって本学会の前身である胸部CT検診研究会(CT研)の発足時に肺がんの早期発見と並行して冠動脈石灰化の検出が冠動脈疾患のスクリーニングに応用可能かどうかということについても検討されるようになりました。その後いくつかの検討部会が活動を始めたこともあり、循環器領域についても検討部会を立ち上げようという動きがあったため、2001年初頭に渡辺滋先生(現:うたせメディカルクリニック院長)を部会長として循環器部会が発足しました。その後2002年4月に渡辺先生がCT研副会長に就任されたのに伴い、伊谷寧崇が部会長を引き継ぎ、現在に至っています。

CT研発足以来胸部CT検診受診群において冠動脈および大動脈石灰化が冠動脈疾患の発症リスクを増加させること、胸部X線写真では検出されない無症候性大動脈瘤の診断が可能であること、さらに大動脈石灰化が脳梗塞の発症リスクを増加させるといったように胸部CT検診が循環器疾患の早期発見に有用であることを示唆する研究報告がすでに発表されています。しかしその一方で、冠動脈および大動脈石灰化が検出された場合、どのように確定診断のための検査を行うか、それと同時にどのように長期的なフォローアップを進めていくかといった問題については方針が定まっていないため、CT検診における循環器疾患の診断基準の確立に至っていないのが現状です。したがって有所見例のフォローアップを効率的に行うためのシステムづくりと診断基準をいかにして確立していくかについての検討を今後も継続して行う必要があると思われます。また、本学会は学会名から胸部をはずしたことからもわかるように、CT検診の対象が拡大しているため、例えば胸部CT検診では見落とされていた腹部大動脈瘤がCT検診受診群ではどの程度検出されるかといった問題や、最近関心が高まっているメタボリックシンドロームと関連が深いといわれている腹部内臓脂肪の問題などが新たな検討課題に加わるものと思われます。本部会では循環器疾患の診断にCTを用いておられる医療機関の先生方の他に診断支援システムの研究にたずさわっておられる工学系の先生もメンバーに加わっておられますが、循環器疾患の早期診断に決め手となるCT所見を効率的に検出するための診断支援システムの構築についても引き続き検討課題としていきたいと考えております。

以上に述べたように、本部会の検討課題は今後ますます多岐にわたるものと思われますが、世界にむけて新たなエビデンスを発信できるよう、本学会に参加されている医療機関の先生方、CT検診にかかわる放射線技師、看護師、保健行政関係、機器メーカーの方々の忌憚のないご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。


【本件に関するお問い合わせ先】

伊谷 寧崇(いたに やすたか)
伊谷医院
〒133-0073 東京都江戸川区鹿骨5-11-1
TEL:03-3679-3992
FAX:03-3679-5745
E-mail: 伊谷 寧崇

循環器部会

部会長伊谷 寧崇伊谷医院
副部会長仁木 登徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部
部員高梨 一紀JR東日本健康推進センター